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『地上の楽園』

1959年大阪、在日朝鮮人の復興を遂げ平等を
実現し【地上の楽園】と称される北朝鮮への「帰
国運動」が過熱していた。ここからは本書の抜粋
です。「北朝鮮が日本人を拉致するようになった
んは、昭和五十年を過ぎてからやて聞いた。被害
者がなんぼ訴えても日本の政府は問題にもしとら
へんともな。たった五人でも日本に帰ってこれた
んはええこっちゃ。けどな、誰も話題にしよらへ
んけど、小泉純一郎て、あの小泉純也の息子やな
いかい。小泉純一郎の親父がわしらを騙して北朝
鮮へ送り込んだ張本人の一人やて、ちゃんと書い
てる新聞や雑誌、見たことあるか」。北朝鮮に何
万人もの帰国者を受け容れる能力などないと知り
つつ、総聯も日本政府も、そして日本赤十字も帰
国運動を奨励した。これは最大規模の国際犯罪で
ある。そのことを明らかにし、責任を追及しない
限り、人間は必ず過ちを犯す。いや、現に犯し続
けている。これが本書のあらましです。衝撃の社
会派巨編と言えよう。手に取るまで小泉純一郎の
父親がこの事業に深く関わっていたことは知らな
かった。月村作品には「アタリ」と「ハズレ」が
ありましたが、当然ながら本書は「アタリ」です。












