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酒場店主のブログ

『時の睡蓮を摘みに』  

ひと月半ほど前に読んだ著者・葉山博子の『南洋
標本館』より、その前(デビュー)作となる本書
に興味を持ち、手にした次第です。しかしながら
読み終えるまで随分と時間を要しました。第二次
世界大戦前夜の仏領インドシナを舞台に、歴史の
流れに翻弄される日本人女性を主人公にした物語
です。本書がデビュー作であるが故、回りくどい
表現も多々。頁を捲るごとに著者のとてつもなく
広く深い知識が溢れ出す【手ごわい一冊】でもあ
る。なにしろ遅々として前に進まぬ。読み終えた
後の、この安堵感はなんやろ。ひとつ言えること
は、読者の質を問われる一冊でしたね。恐るべし。