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『ふたつの嘘』
先日、『葬られた夏 追跡 下山事件』を読み終え、
著者・諸永裕司の近著を調べてみたところ、なん
と、１９７２年の沖縄返還時、日米間の密約（国
家のウソ）を告発し、不当逮捕された男、毎日新
聞・看板記者の『西山太吉事件』を題材にしてた
とは。事件に関する書籍は、過去に何冊も読みま
した。本書は、不当に逮捕された夫を支えた妻と
女性弁護士、ふたりの視点から描く、沖縄問題に
とどまらない、あからさまなウソを塗り重ねてき
た政府の【闇】を告発したノンフィクションです。
事件当時、西山の告発が、外務省の女性事務官か
ら機密を入手した取材手法に「ひそかに情を通じ
て」という言葉で、問題は男女のスキャンダルに
すり替えられた。以降、日米間の密約が米国の公
文書によって明かされたのは３０年ちかく後。事
件に巻き込まれたのは本人だけではなく、その妻
も影響を受け、もがき苦しんだ。現実（事件）か
ら逃避したい西山に対して、妻は正面より現実と
向き合う。知られざる【妻】視点の事実記録です。
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