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ひろしま
『みちなかば』

読売新聞・編集手帳より 市民に対する無差別攻
撃に、被害を受けた側が報復の念を抱いても不思
議はなかろう。そうならなかったばかりか世界中
の誰一人として同じ目に遭わせないとの一念で被
爆体験の伝承を努めてきた。ノーベル平和賞が授
与される【日本原水爆被害者団体協議会】である。
ソ連時代の広大な国土が分断された恨みから侵略
に打って出たロシア、自衛のための攻撃と言いな
がらその範囲を著しく逸脱するイスラエル・・報
復に囚われた国の現実を見るにつけ「唯一の被爆
国」の発信が際立つ。報復の虚しさを知る国の一
人として栄誉のお裾分けにあずかりたいところだ
が、時は熟していないだろう。理念を具現化する
道はなお険しい。 核兵器廃絶への道半ばである。