Blog
酒場店主のブログ

『楽園の犬』

半月ほど前、読んでみたいと手にした一冊。著者
岩井圭也は1987年生まれだから36歳ですか、
30代の作家が1940年、太平洋戦争勃発直前
のサイパンを舞台にした防諜(諜報)小説を書く。
読みはじめ、30年くらい前に読んだ、日米開戦
直前の日本(択捉島)に潜入した米国スパイの諜
報活動を描いた、佐々木譲の傑作『エトロフ島緊
急伝』同様のハードボイルドか、と思いましたが
物語は意外な展開に。「世の中が戦争に突き進も
うとするとき、人はどこまで自分でいられるだろ
うか、どこまで自分の意思を通すことができるの
か」を問う一冊。本書より、日米開戦勃発前のサ
イパン内外に漂う【きな臭い空気】を想像するこ
とができる。著者・岩井圭也の力量、あっぱれだ。