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『チンチン電車と女学生』

それは不思議な出会いでした。ひと月ほど前、初
めてその本屋(隆祥館書店)に伺い、店の佇まい
から、もしかしたらと「堀川惠子さんの、チンチ
ン電車となんとか・・いう本はありますか?」に
すかさず「絶版になってるかもしれないけど出版
社に問い合わせてみます」と店主の神対応。その
本が手元に届きました。探してた一冊です。19
45年8月6日、原爆が炸裂したあの日も、チン
チン電車は広島の街を走っていた。運転士と車掌
の多くは14~17歳の女学生たち。兵隊に取ら
れた男たちの代わりを務めてました。広島で生ま
れ育ったワシは幼少の頃から当然のようにチンチ
ン電車を利用してました。また、祖父が【広電】
の社員であり、被爆した半月後に亡くなったこと
も、本書を手にすることの必然を感じるところで
した。敗戦を経て、男たちが職場に戻ってくると
彼女たちは「お払い箱」とされた。まさに国策に
翻弄されたのが彼女たちでした。戦争、被爆の隠
れた側面を著者・堀川惠子は徹底した取材でこの
貴重な記録を残す。本書を取り寄せていただいた
隆祥館書店・二村さんに感謝。大切に保管します。