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『身分帳』

立ち寄った書店の文庫本コーナーで『佐木隆三』
の名に目が留まり手に取ってみる。随分とむかし
に【復讐するは我にあり】を読み、その読み応え
と本書の厚み、帯の『西川美和(監督)』推薦よ
り購入。タイトルにもある【身分帳】とは、刑務
所・収容者の家族や経歴、入所時の態度や行動が
記載されている書類のこと。(実在した)主人公
のように、トラブルが多い収容者になると厚みが
膨大になり、人生の殆どを刑務所で過ごした主人
公にとっては【自分史】に等しい書類となる。満
期にて出所、身寄りのない武骨者が、人生の再ス
タートしようと東京に出て職探しを始めるが世間
のルールに従うことが出来ず、衝突と挫折の連続
に戸惑う。ええ本でした、久しぶりの佐木隆三と
原作を西川美和(監督)が映画化することで、読
んでみようと。彼女の監督作品は観たことないけ
ど、小説家として同郷の彼女が描いた・・終戦の
当日、ぼくが故郷・広島に向かう中編小説【その
日東京駅五時二十五分発】を読み、その人物像に
興味を持ち、読む必要あり。と。当たりでしたわ。