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酒場店主のブログ

『西村賢太』

西村 意外な選択(洋モノ)からスタートした 今年の読書。【火星の人】の次に手にし たのは西村賢太の短編集【形影相弔・歪 んだ忌日】。3年前に読んだ芥川賞受賞 作品【苦役列車】以来。ドロップアウト した人生を歩み、劣等感とやり場のない 怒りをぶち込んだような私小説。読む端 から臭気が漂ってくる作品は強烈でした。 一読後、もうええわ。となったのですが、 またも手に取る行動に出たのは、何やろ。 それは若い頃の暮らしと重なる。20代 半ば・・市内の下町にて風呂のない、所 謂【文化住宅】と言う文化の欠片もない 安アパートに暮らしてました。その記憶 と小説の世界が重なるのだ。酒場の例え で言えば、下町の酒屋の軒先にビールケ ースを重ねたテーブルの立ち飲み屋を彷 彿とさせる作風。アイラモルト・ウイス キーのボトルが並ぶ、オーセンティック バーの様な村上春樹の作品とは世界観が 対極にある。村上春樹の好きな方に、お 奨めしたい一冊。たまには対極の世界も 覗いてみなはれ。それはそれで、面白い。