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酒場
『ハイボール』
さて、うまいハイボールとはどんな味か。
その説明はむずかしい。ひとくちで言え
やしない。現物を飲んでいただくより仕
方がない。私見によれば、要するに「キ
リッとした味」なのだ。ひきしまった味
だ。そうしてキックしないといけない。
舌のうえで、喉のところで何か小気味よ
いものが、絶えず蹴っていると言う感じ。
昨日、手にした琥珀色の一杯に秘められ
た、１７の短編集【今宵もウイスキー】。
その１篇、山口瞳の【ハイボール】奥義。
