Blog
酒場店主のブログ

デザイン

『きょうかたる きのうのこと』

巷で物議を醸す、オリジナル・デザイン とは。そんななか、一冊の本を手に取る。 装丁家・平野甲賀の【きょうかたる き のうのこと】。【深夜特急】の装丁にて カッサンドルの装画に力負けしない独自 の「描き文字」コラボで、強烈な印象を 見せ付けたタイポグラファーの著書です。 以前よりこの人のアタマのなかを覗いて みたいと思うてました。本書の内容は期 待したモノとは異なりましたが、著者の スタンス表す下記一文に、二度うなづく。 日本語は象形文字の文化だ、漢字一文字 のなかに風景がみえている。風景には色 があり、音さえ聞こえ、ときには風もふ き、気温さえ感じて、森羅万象のことご とくを表現することができるのではない かと思ったりする。つまり文字は記号的 な役割りだけでなく、商品名、演劇映画、 書名、キャッチフレーズなども、象形の 力をかりて個性的な姿をみせようとする。 文字は、それぞれの性格にそった意匠を 身にまとい、印象的な存在感を主張する。 半世紀にわたり・・そのデザインと「描 き文字」で表情ゆたかな【装丁】を第一 線で創造してきた巨匠の言葉に重みあり。